クールな社長の甘く危険な独占愛
『もしもし? ああ、出てくれた。よかった』
柔らかくて、暖かな声。
「ごめんなさい、折り返さなくて」
『いいんだよ。忙しいんだろうね』
軽く笑う。
「あの……今ちょっと手が離せなくて。後で必ず電話するので……」
『そうか。わかった。待ってるよ』
「ごめんなさい」
『いいよ別に。じゃあ……』
「さつき、夕飯何がいい?」
突然後ろから、社長の明るい声が聞こえた。
『えっ』
昌隆の驚いた声が、携帯から響く。
さつきもびっくりして振り返ると、社長の手がさっと携帯を奪う。
「ちょっと!」
容赦なく通話を切った。
「はい、終わり」
社長がすました顔で言う。ポンと携帯を投げて返す。
「まだ話終わってなかったんですよ!」
社長の無礼を信じられない。
「客がいるのに、電話してるから」
「そんな……」
自分で『出ろ』って言ったくせに。
さつきは手のひらの上の電話を見つめ、深くため息をついた。
どうしたらいいの、まったく。