クールな社長の甘く危険な独占愛


あのあと。夜の十時。
さつきの作ったオムライスを食べて、社長はやっと隣の部屋へと帰って行った。

どこまで身勝手で、どこまで人を翻弄するのだろう。

昌隆に掛け直すと、昌隆はどこか不安げな声を出した。『あれは社長のいたずらだ』と言っても、合点がいってないようだった。

さつきはひたすら謝るしかなかった。

「長尾さん、ぼーっとしてる」

隣から声をかけられて、はっと我に返った。

昼下がりのオフィス。
社長はランチミーティングで出ている。

「あ、ごめんなさい。考え事してて」
「悩み事ですか?」
「ちょっと、ね」

さつきは両頬をパチンと手で打った。

「恋の悩みですか?」
リカが満面の笑みを見せる。

さつきは慌てて首を振った。「ちがうちがう」

「わたしは最近、恋の悩みがなくて悩んでます」
りかは寂しそうにうなだれた。「この職場じゃ、出会いもないし」

「……そうよね」
さつきも話を合わせる。

「社長って、どんな恋愛するんでしょうね」
りかが言った。

「……さあ」
さつきは首をかしげる。
内心、人を愛したことなんかないんじゃないかな、と思いながら。

社長は、恋愛も遊びの一つにちがいない。

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