クールな社長の甘く危険な独占愛
同じ空間にいるだけで、ビリビリする。
社長の父親は、社長に輪をかけて恐ろしかった。
磨かれた机に座り、手には万年筆を持っている。ゴールドのメガネをかけ、その奥の瞳が、鋭くさつきを見つめる。
社長をもっと男らしくしたような顔。遺伝子のつながりを感じた。
「連れてきたよ」
社長が砕けた口調で言ったが、その声には聞いたことのないような緊張が潜んでいる。
「そうか」
父親がさつきを見る。
品定めをされているような気持ち。さつきは「はじめまして」と頭を下げた。
「出身は?」
「愛知県です」
「出身地じゃない。大学だ」
「……星山女子大学です」
さつきがそういうと、鼻を鳴らす。
「馬鹿じゃないが、取り立て頭がいいわけでもないな」
さつきはそのストレートで悪意のある物言いに驚いた。
「で、年は?」
「二十八になりました」
「若くはないが、まあいいだろう」
さつきは思わず、隣に立つ社長を見上げた。顔の下に、静かな怒りが見える。