クールな社長の甘く危険な独占愛
和茂はその言い方に、トゲがあるのに気づいた。
「大げさだな」
和茂は笑ってその場をやり過ごそうとしたが、武則の顔は厳しさを増す。
「お前、自分の影響力を、もうちょっと考えたほうがいい」
武則は升を手に取ると、ゆらゆらとお酒を揺らした。
「あの子は、おまえの秘書だけれど、おまえのものじゃない。一人の女性だよ」
「わかってるよ」
「いや、お前は全然わかってない」
「ゲームが終了したら、解放するから。そんなに目くじら立てるなって」
武則は厳しく和茂を見つめると、升を置いて立ち上がった。
「帰るのか?」
本気で怒っている武則を見上げ、和茂は驚きの声を上げた。
「帰って頭を冷やす。このままだと、お前をぶん殴りそうだから」
武則はそう言って、背を向ける。そのまま振り返らず個室を出て行く。
「なんだよ……」
一人残された和茂は、再び川エビを口に入れた。