クールな社長の甘く危険な独占愛
社長はリビングに入ってくると、昌隆の隣に腰を下ろした。昌隆はなぜ社長がこの部屋にいるのか理解できないようで、しきりにさつきと社長の顔を見比べている。
「あの……」
昌隆がおずおずと話し出す。
「なんだ?」
「よく、この部屋にいらっしゃるんですか?」
「秘書だから」
社長はさも当然という顔で言う。さつきは何を言い出すかわからずハラハラした。
「君が、彼女の婚約者?」
社長がテーブルに肘をつき、ちらっと視線を昌隆に送る。
「はい」
昌隆が少しほっとしたような声をだした。
「彼女のこと、好きなのか?」
「はい」
昌隆の声に力がこもる。
「じゃあなんで今まで、彼女を放っておいた?」
昌隆が驚いて目を開いた。
「放っておいたわけじゃ……」
「心配だろう? 自分の婚約者が東京で一人働いてるなんて」
「心配でしたが、彼女がそう望んだので」
昌隆が下を向く。
「じゃあ、長尾が帰りたくなかったってことだな。それを君もわかってる」
核心をズバッとつかれて、さつきの額に汗がにじむ。
「そうかも、しれません」
昌隆は素直に頷いた。