クールな社長の甘く危険な独占愛

「なんか、腹たってきた」
和茂はメガネを取り、放り投げた。

このまま二度寝して、会社になんか行きたくない。
さつきの顔を、泣きはらした顔を。

見たくない。

「あーっ、くそっ」

和茂は飛び起きて、腕時計を見る。出社する、ギリギリの時間。

「ちくしょー」
ベッドから降りて足を踏み出すと、バリンという音。

「あ」
足元を見ると、銀縁のメガネが壊れている。

「なんだよ、もう……」
和茂はがっくりと肩を落とすと、割れたメガネを拾い上げた。

「俺、何に怒ってるんだ?」
ため息とともにメガネをポケットに仕舞うと、力なくカバンをを小脇に抱え、部屋をでて行った。

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