クールな社長の甘く危険な独占愛
「失敗したなら、永井専務の命はありませんね」
リカが冗談めかして言った。
でもそうなら、冗談抜きで、まずいことになる。
十分ほどたって、社長室の扉が開いた。
永井専務は、顔面蒼白だ。
続いて後ろから、厳しい顔の社長が出てきた。
「リビテックの鳥居部長に今日中のアポをとれ」
「かしこまりました」
リカがさっと電話を手に取る。
「永井、お前はすぐに新しいプランを用意しろ」
専務が小さく「はい」と答える。
「社長、先方は夕方五時以降なら大丈夫とのことですが」
リカが受話器を手に持ち、尋ねる。
「創エージェントカンパニーの後藤様とのお約束が入っておりますが」
さつきが口を挟んだ。
「重要性の違いもわからないのか?!」
突然、専務が怒鳴った。
「比べ物にならないんだよ、なんとかしろっ!」
さつきは思わず「申し訳ございません」と頭を下げる。
「永井」
冷たい声が響く。
秘書室がシンと静まりかえった。
パーテーション向こうの副社長付きの秘書たちも、息を潜めているのがわかる。
「篠山、五時に伺うと伝えてくれ」
「かしこまりました」