クールな社長の甘く危険な独占愛
社宅マンション前まで送ってもらった。目黒の一等地に立つ、中規模マンション。エントランスの木々は手入れされていて、年収一千万程度の独身者たちが住まう。
「俺の暮らしとは、ずいぶん違うな」
マンションを見上げて、昌隆がつぶやく。
「社宅じゃなければ、私もこんなところ住めません」
さつきはそう言った。
「あの社長、ずいぶんお金持ちなんだろうな」
「……そうですね。このマンション、全部を所有してるみたいですよ」
「ホント? うわ、規模が違うな……」
昌隆が肩を落とす。
「俺とは全然違う」
さつきは思わず昌隆の手を握った。
「でも、お父さんの仕事を、継いでくれました。工房がなくならなくて、すごく……うれしかった」
「さつきちゃん……」
昌隆がさつきを見つめる。
あ、キスされる。
昌隆が顔を寄せたので、さつきは戸惑った。
彼にキス、されたほうがいい。
彼のものだって、自覚したほうがいい。
でも。
すると突然、腕を勢い良く引っ張られた。