クールな社長の甘く危険な独占愛

「マンション前で、何やってんだよ」

見上げると、不機嫌な顔。

「あ、すみません」
昌隆が一歩後ろに下がる。

「遊びのキスはしないとかなんとか、言ってたくせに」
「……しませんよ」

さつきは気まずさでいっぱいになりながらも、目をそらさぬよう頑張る。
社長は、少し考えるように、眉を寄せた。

「君も……」
社長が昌隆を見る。

「なんの保証もないのに、よく彼女を東京に行かせたな。約束なんか忘れて、好きにやったらいいのに」
腕を組んだ。

「……お言葉ですが」
昌隆がキッと顔を上げる。

「雇い主というだけで、彼女のプライベートまで口を出す権利はないと思います」
「口は出してないって。自由にしたらいい」
社長の口がへの字に曲がる。

「そうでしょうか? 変に僕をけん制している」
社長が肩をすくめた。「俺のおもちゃみたいなもんなんだ。もってかれちゃ寂しいだろう?」

昌隆が拳を振り上げた。

「だ、だめっ」
さつきはとっさに昌隆の懐に入って、社長に殴りかかるのを止めた。

「なんだよ、この人? さつきちゃんのこと……」

社長が笑う。
「すぐ暴力に訴える。ガキの恋愛みたいだな。どうせキスするかしないかで、騒いでるたちなんだろう?」

「キスだけじゃありません!」
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