クールな社長の甘く危険な独占愛
蛍光灯の白い光。
誰かが喋るような、かすかな音。
さつきは、扉の隙間から頭を出して、中の様子を伺った。
正面の大きな机の上に社長は……いない。
代わりにブルーのパネルが机の上に置かれている。
何あれ?
「ん……」
うめくような声が右側から聞こえたのでそちらを見ると、チョコレート色のソファーの上で寝ていた。
社長が、
寝ている。
さつきは驚いて口に手を当てた。
ワイシャツにグレーのズボン。昨日着ていたスーツのままだ。革靴は床に脱ぎ捨てられて、足を大きく開いて片足をソファーの背もたれに載せている。
さつきは好奇心が抑えきれず、一歩、二歩と社長室へと入っていった。
爆睡する社長を見下ろす。
いつもはきちっとネクタイが閉められている襟元は大きくあいて、華奢な鎖骨が見えた。
まるで赤ん坊がするように両手をあげて、完全に無防備だ。
そして寝ている時は、無害で、なおかつ、想像以上に美しかった。
それにしても、綺麗な顔だな。
さつきはまじまじと社長の顔を眺めた。
こんな風に顔を見るのは初めてかもしれない。
無精髭がうっすら見える。
「ん……」
社長が突然うめいた。
さつきはおどろて、後ろに飛びすさった。
起きた?
社長は頭をもしゃもしゃと掻くと、再び夢の世界へ。
さつきはホッとした。