クールな社長の甘く危険な独占愛
三
長い睫毛。くっきりした二重。黒目がちの瞳。鼻筋は通っていて、唇は薄い。
その顔が、真っ赤に染まった。
どうしても、あたまから離れない。
あのときの社長の慌てた様子が、繰り返し再生される。
「長尾さん、今日、メガネどうしたんですか?」
リカが顔を覗き込んだ。
「あ、壊れちゃって」
メガネを外すと、裸を見られているようで心もとない。
「そうなんですか。昨日は社長で、今日は長尾さん。んん〜?」
リカが含みを持った声を出した。
「踏まれちゃったの」
さつきは言った。
うそはついていない。跳ね飛ばされたメガネを、社長が見事に踏んでいった。
「今日、会社帰りにメガネ屋さんに行くつもりです」
「その方がいいですよ。困りますものね」
そこに、秘書室の扉が開く。
「おはようございます」
秘書が一斉に立ち上がりあたまを下げる。
「おはよう」
いつもに輪をかけてピリピリムードの社長が、出勤してきた。
社長と目が合う。
心臓が跳ね上がる。
さつきの頭に、自然に顔を寄せた社長が浮かんだ。