クールな社長の甘く危険な独占愛
「……長尾、メガネどうした」
社長がさつきの前に立ち止まり尋ねた。
「踏まれました」
「……そうか」
社長の顔は少しも変わらない。
自分が踏んだってことを、覚えてないんだろうか。
社長が背を向けて、社長室へと入っていく。さつきは社長の心がわからず、もやもやが胸に渦巻いていた。
社長が変だ。
突然昌隆を殴ったり、顔を真っ赤にしたり。
「ああ、もう」
思わず口に出す。
「どうしました?」
リカが尋ねたので、慌てて「独り言。ごめんなさい」と謝る。
考えなくちゃいけないことがある。人生を左右する、大切なこと。
でも、社長のことが気になって、どうしても昌隆に考えが及ばない。
本当にもう。
どうしたらいいんだろう。
さつきは軽くため息をついて、デスクに座る。
それから朝のメールチェックをしていると、一通の新着メールの知らせ。
「メガネ、今日の帰りに買ってやる」
さつきは再びため息をつく。
本当にもう、どうしよう。