クールな社長の甘く危険な独占愛
社長のBMWに乗って、メガネショップに連れて行かれた。夜の銀座。ネオンが車内を時たま照らす。
運転席の社長を横目でチラッと見ると平然としている。
やっぱり動揺しているのは、私ばっかり。
さつきは混乱していて、どうしたらいいかわからない。
もともとギャップのある人だったけれど、あんなに無防備になった瞬間は初めてだった気がする。でも、あれも、キスさせるための演技なんだろうか。
「メガネ……」
「はい?」
突然話しかけられて、さつきははっと我にかえった。
「メガネ、俺が踏んだ?」
表情を変えず、社長が言う。
「そうですね」
「階段で?」
「……はい。覚えていらっしゃらないんですか?」
さつきは注意深く社長の顔を観察する。
「覚えてない」
社長はさつきの顔を少しも見ない。「悪かったな」
「いえ……」
会社モードの社長から、今日はなかなか抜け出ない。メガネを踏まれたのはさつきだが、なぜか怒られるような、そんな気にさせる。