クールな社長の甘く危険な独占愛
「社長」
「なんだ」
「高いです、これ」
値札には「十五万」と記されている。さつきは何度も「ゼロ」の数を数えた。
「そうでもないだろ」
「……社長には高くなくても、私には」
「買ってやるって、言ってるんだ。文句言うなよ」
「こんな高級品じゃなくていいって、お願いしてるんです」
さつきは社長の目を見て訴えた。毎日十五万円をつけて歩くなんて、気持ちが落ち着かない。
「……おまえ、庶民だな」
社長が笑った。
「そうです」
さつきは思い切りうなづいた。
「ちょっと、かけてみろって。あのでかいメガネ、本当におかしかった」
社長がメガネフレームを手に取った。そのままさつきの耳にかけようとする。
社長の指が耳に触れると、とたんに動悸が始まった。
顔が赤くなるのがわかる。
社長のことを気にしちゃいけない。
彼は私で遊んでいるだけなんだから。
さつきは社長の端正な顔を見上げた。
綺麗な顔。
キスされたら、きっと溶けてしまう。
女性なら誰だって、一度は夢を見る。
そんな人。