クールな社長の甘く危険な独占愛

「キスしてほしいって、思ってる?」
社長が笑みを浮かべて言う。

「……思ってません」
さつきはさっと顔を背けて、鏡でメガネをチェックするふりをした。

本当は顔が熱い。

「そっか」
社長ががっかりしたような声を出す。

「俺、こういうのに負けたことないんだよね」
「……でしょうね」
さつきはメガネを外しながら言う。

「あいつが好きだから、俺とは嫌だってこと?」
なんだかすねたような口調で言った。

「それは……わかんないですけど」
さつきは言葉を濁した。

社長が腕を組んで、さつきを見る。この視線に耐えられない。いつだって全部見通されているような気がする。

「好きじゃないなら、結婚しなきゃいいのに」
「……でも社長に遊ばれるよりも、幸せになれる気がします」

社長が口をつぐんだ。

さつきは「しまった、言いすぎた」と首をすくめる。

社長がしばらく考えるように眉を寄せる。それから「そうだろうな」とつぶやいた。

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