クールな社長の甘く危険な独占愛
「高すぎる」を連呼するさつきに、無理やりメガネフレームをプレゼントした。これまでのメガネはひどすぎた。だってほら、新しいフレームをかけていると、三割増しぐらいに見える。
あ、鏡の中の自分を見て、微笑んだ。
気に入ってるんだ。
和茂はなぜか嬉しい。
女の子にプレゼントをすることなんて、これまでもよくあった。笑顔の「ありがとう」は、すぐにその夜のベッドにつながった。悪くない取引。そんな感じ。
でもなんだろう。俺がおかしくなってる。
さつきがベッドなんてとんでもない。
キスだってさせない女なのに。
「視力が0.05? 何をするとそんなに悪くなるんだ?」
車の中で、さつきをからかう。
さつきは、うまく感情を隠せない。冷静を装うとするところがまたおかしい。
楽しいんだ。
だからきっと、手放したくない。それだけだ。
「結婚するのか?」
「……した方がいいとは思ってます」
神妙な顔で言う。
「『した方がいい』と思ってるなら、しなきゃいい」
「社長は自分のことじゃないから気軽にアドバイスしますけれど……そう簡単には決断できないんです」
「……まあ、決めるのはさつきだけど」
和茂はそう言ってから、「本当にさつきが『結婚する』と決めたら、俺はどうするんだ?」と心に浮かぶ。
いやいや、関係ないし。
和茂は自分を心の中で笑った。