彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
「どうして零士がここにいる？雪はなぜ、お前といる？」

琉偉の言葉に、零士は鼻で笑った。

流石の琉偉もイラッとする。それでも表情は冷静さをなんとか保った。

「雪さんが、俺を信用したからでしょ？兄さんは、雪さんを知らなすぎる。雪さんは兄さんをよく知ってるのに。そんなんで、よく結婚なんて口にできたものだ。こんなことなら、全て白紙に戻したら良い。雪さんのためにも」

「…零士、まさかお前、雪の事を」

「…好きだと言ったら？」
「…渡さない。渡すわけない。雪は俺の大事な婚約者だ」

「雪さんの体調不良にも気づかないくせに」

「…」

琉偉は目を見開いた。

「あんたに、雪さんは幸せにはできないよ」

そう言い捨てると、部屋を出ていった。

しばらく、放心状態だった琉偉だったが、ハッとして、雪の元に急いだ。

ベッドで眠る雪の顔を見た。薄明かりに照らされた雪さんはのかおいろは悪い。

どうして気付けなった？

「…ゴメン…雪」

その言葉に、雪が目を覚ました。

「…琉偉さん」
「ぁ、悪い、起こしたな」

雪は力なく笑って首を降る。

そして雪は琉偉の手を握りしめ、その手にそっと口づけて、其を抱き締めると、また目を閉じた。
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