彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
7.白に救われる
それからの琉偉は、雪を片時も自分の側から離すことはなかった。

とは言え、業務内容によっては、雪を秘書室に置いて行かねばならない時もある。

「…社長」

社長室で雑務をこなす琉偉に、雪が声をかける。

書類を持ったまま、目線を雪に向ける。

「…社長、最近様子がおかしいんですが、どうかされましたか?」

「…何がおかしい?」

「…秘書業務と関係ないのに、私を側に置きすぎかと思いまして」

零士が、雪を奪いはしないかと、心配だと、言うことが出来なかった。

「…体調が万全か、気になるんだよ。側に置いておきたい。」

それも勿論嘘ではない。多忙だったとは言え、大事な人の体調にも気づけなかった自分が、嫌だった。

雪は小さくタメ息をつき、琉偉に言う。

「私はもう大丈夫ですから。…業務に戻りました」

雪は一礼すると、社長室を出ていこうとする。

琉偉は思わずそれを追いかけて、雪を後ろから抱き締めた。
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