彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
「…なんだか込み入った話ですか?」

3人の後ろからそんな声が聞こえ、顔色を変えた3人は同時に振り返った。

「「「黒澤社長‼︎」」」

これまた仲良く3人の声が重なった。

「…黒澤社長、ご用がおありでしたら、伺いましたのに」

平静を装って雪は琉偉に言った。

「…用ではないんだけどな」

琉偉の言葉に、雪は首をかしげる。

「…それ、出来た?」
「…え、あ、書類は全て出来ましたが…何か?」

「…そう、じゃあ、行こうか」

真顔で言う琉偉に、雪は更にポカンとする。

「…取引先ですか?今日はそのような予定は…」

困惑顔で言う雪。後ろの麻美と真美は顔を見合わせ、ニヤリと笑いあう。

「…取引先じゃない。とにかく表に車を回して、行くぞ」
「え⁈あ!黒澤社、長…」

雪の話を最後まで聞く事なく、琉偉は行ってしまった。

「…ふーん、そうかー、黒澤社長とー、ふーん」

と言いながら、麻美はニヤニヤしている。

「大丈夫っていう筈ですね〜。うんうん、黒澤社長程の人なら、雪さんを任せられます」

と、真美もニヤニヤしながら言っている。

「ちよっ!何を勘違いしてるの⁈私と社長はそんなんじゃ」

「ほらほら、早く車表に回して下りないとまずいんじゃない?」

麻美の言葉にハッとした雪は慌てて内線で、運転手に連絡をいれると、一階に急いだ。
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