彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
「…俺と話していても、あまり面白くないか?」

車の中、琉偉が雪に問いかけた。

「いいえ、私もまだまた勉強が足りないなあと思いました。色々聞かせていただいて、とても勉強になったし、楽しかったです」

嘘偽りなく答えた雪。新しい事を知る事は、本当に楽しい。

「…そうか。でも、仕事の事ばかりでは、色気も何もあったもんじゃないな」

そう言って溜息をつく琉偉。

「…黒澤社長でも、困る事あるんですね」
「…俺だって人間だ。悩む事くらいある」

そう言って拗ねたような顔をした琉偉を見て、雪はクスクスと笑った。

そんな時、突然思いついたように、琉偉が雪に言った。

「今度の休みの日、白井さんの1日をおれにくれないか?」
「…は?」

「…うん、そうしよう」
「え⁈…あの、」

私は何も承諾していないと言おうとしたのに、琉偉は勝手に話を進めていく。

「行く場所は、白井さんに任せるから…そうだな、仕事には全く関係のないところがいい」

…結局、雪の話は一切聞く事なく、この約束は成立してしまった。

社長と言う人たちは、みんな、こんなに自分勝手なのだろうか?雪はほとほと困り果てた。
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