彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
…社に戻った雪は、資料を各テーブルに一部ずつ配って行く。課長も同じく社長秘書の一人なので、一緒に、お茶も配っていく。

まもなくして、重役達が全員揃い、雪は、琉偉を呼びに行った。そして重役会議が始まった。

…流石と言うべきか。

琉偉は先程とはうって変わって、険しい顔つきで、会議に聞き入っている。時には重役達に意見し、社長の言葉に耳を傾ける重役達。

この人はやっぱり凄い人だと、改めて再確認した雪。

そんな凄い琉偉なのに、何故自分には、本当の琉偉の姿を見せるのか?謎ばかりが増えていく。

何故、こんなどうしようもない自分を構うのか?…ただ面白がっての事なのか?それとも雪に気があるのか…

「…さん」
「…」

「…井さん」
「…」

「白井さん」
「は、はい!」

3度目にやっと気づいた雪が大きな返事をした。…そのせいで、重役達の目が、一気に雪に集まり、雪は慌てて頭を下げた。

「…何やってんの?」

呆れ顔で雪に言う課長。

「すみません…なんでしょうか?」
「秘書課からすぐに戻るよう連絡が来たんだ。何かトラブったのかもしれない。ちょっと帰ってきてくれる?」

「わかりました」

なんだかただ事ではないような気がした雪は、静かに会議室を出ると、早足で秘書課に戻った。
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