彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
「…社長、どうしてこんな時間に?」

やっと落ち着いた雪は、秘書課に黒澤社長がいるのか気になり問いかけた。

「…あぁ、今日新規の取引先の書類を課長に渡していたんだけど、気になった事があったから、課長に電話したんだけど…やっぱりダメだな。クリスマスに電話なんか繋がらない」

そう言って困ったように笑った。

「…あ。その書類、私持ってます」
「本当⁈良かった。直ぐ出せる?」

「はい…えっと…あ、ありました。これですよね?」

書類を手渡し確認すると、黒澤社長は頷いてくれた。

「ありがとう、助かった」
「いいえ、…あの、社長はまだお仕事ですか?」

「あー、うん。これの確認が済んだら終わるけど」
「そうですか。他にご用がなければ、私はこれで」

…実は、化粧総崩れの今の状態で、これ以上黒澤社長の側にいるのは忍びなかった。泣いてた理由も聞かれたくない。だから、ここから直ぐに立ち去りたかった。

「白井さん」

…帰ろうとした雪を、黒澤社長が止めた。…これでは、帰るに帰れない。
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