彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
「そんな事は唯の一度も思った事はないよ」
「じゃ、なんで黙ってたんですか?」

「雪が、黒澤コーポレーションの社長秘書だからだよ」

その言葉に、目を見開く雪。

「黒澤琉偉が、俺たちの邪魔をする」
「…社長が?」

「SKファンドは会社を立ち上げてまだ日が浅い。社員もまだ、30人の弱小企業だよ。でも、新しく始めた事業がうまくいってて、急成長してるんだ」

「…それと、黒澤コーポレーションと何の関係が?」

「黒澤も、うちと同じ事業に参入したんだ。そこで俺を色々調べたんだろう。そして、雪と俺の関係を知った…社長秘書である雪と、SKファンドの俺が付き合っている事をよく思わないのは当然だ。仕事のせいで、雪が辛い思いをしない為に、あんな嘘をついた…結局は、雪を苦しめたのに変わりはないけど」

「…鮫島さん」

「…別れた後で後悔した。愛する雪を手放すべきじゃなかった。…この前、黒澤琉偉と雪が一緒にいるところを見かけた。…黒澤琉偉に、言い寄られてる?」

「…」

「あいつの雪を見る目が、全然違ったから…あの男の口車に乗せられるな」

「…え」

「俺は、今も、雪の事が好きだ。愛してる…俺とまた付き合ってほしい。一からやり直そう。あんな男に雪はやれない。腹黒い男の元へ雪はやらない」

いつの間にか、車は雪のアパートの前に着いていた。雪は、頭が混乱していた。

…琉偉が雪に見せていたあの姿は、偽りのものなのか?
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