彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
思い返してみても、あれが演技だったなんて思えなかった。

それじゃあ、嘘をついてるのは、義人?

雪は混乱したまま、義人を見つめた。

「頭が混乱するよな。突然こんな事言われても」

「…はい、正直、何が本当で、何が嘘なのか…」

「…俺は、ウソはつかない。今言った事は事実だから。…少し頭を整理して、返事をして。…もう一度、俺とやり直してくれるなら、俺は、どんな事をしても、雪を守るから。もう、雪を手放す気はないよ」

その言葉に、何とも言えない顔をして、雪は車を降りると、アパートの二階に行く。そして、そっと振り返ると、付き合っていた時と同じ、雪が部屋に入るまで見守っていてくれる義人。

この人を信じてもいいのか?

それとも、自分の傍にいて欲しいと懇願する琉偉の傍に居るべきなのか?

考えてみても、今の雪に、答えは出せなかった。

…その夜。

雪は、中々寝付く事ができなかった、
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