彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
握る手に力がこもる。…雪は、その手に自分の手を重ねた。
「…雪」
しかし、その重ねた手で、義人の手をそっと下へ下ろした。
「…鮫島さん、ごめんなさい。私は貴方の傍にはいられない。…私は、黒澤コーポレーションの社長秘書です。同じ事業に参入するライバルの鮫島さんの傍にいる事なんて」
「…じゃあ、辞めればいい」
義人の言葉に眼を見開く雪。
「…そんな会社辞めてしまえばいい。雪1人くらいなら、うちの会社で面倒見られる」
そう言ってまた雪の手を掴んだ。だが雪は、首を振った。
ここまで言われて、気持ちが揺らがないわけがない。一度は心底愛した男だ。
今の義人に対する気持ちは、愛情なのか、同情なのか。
「…ごめんなさい」
そう呟くと、雪は義人の手を払いのけ、会社を飛び出した。
「…俺は雪を諦めないから」
そう言った義人の声が何度も耳に響いていた。
…一人部屋に取り残された義人が、フッと笑みを浮かべた事など、雪は知る由もなかった。
「…雪」
しかし、その重ねた手で、義人の手をそっと下へ下ろした。
「…鮫島さん、ごめんなさい。私は貴方の傍にはいられない。…私は、黒澤コーポレーションの社長秘書です。同じ事業に参入するライバルの鮫島さんの傍にいる事なんて」
「…じゃあ、辞めればいい」
義人の言葉に眼を見開く雪。
「…そんな会社辞めてしまえばいい。雪1人くらいなら、うちの会社で面倒見られる」
そう言ってまた雪の手を掴んだ。だが雪は、首を振った。
ここまで言われて、気持ちが揺らがないわけがない。一度は心底愛した男だ。
今の義人に対する気持ちは、愛情なのか、同情なのか。
「…ごめんなさい」
そう呟くと、雪は義人の手を払いのけ、会社を飛び出した。
「…俺は雪を諦めないから」
そう言った義人の声が何度も耳に響いていた。
…一人部屋に取り残された義人が、フッと笑みを浮かべた事など、雪は知る由もなかった。