彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
…その後、雪と琉偉の関係はギクシャクしていた。事務的な会話はするものの、どこかよそよそしかった。

「社長と何かあったんですか?」
「…え?」

社長室の棚で書類整理をしている最中、課長が雪にそう問いかけた。

「最初の頃に比べて、最近はとても良い関係になったような感じだったのに、また、距離は出来たような気がします」

秘書課に配属されてから、ずっと、課長は雪と琉偉をを見てきたのだ。それくらいの事はすぐに分かった。

雪は、笑って誤魔化すしかなかった。

「…琉偉を見捨てないでやってください」
「…え⁈…課長、なんで」

琉偉の部下である課長が、琉偉を呼び捨てにした。

「誰れにも言った事がないんですが、白井さんには、本当の事を言っておいたほうが良いですね。私と琉偉は、義理の兄弟なんですよ」

「…義理の兄弟?」

「…えぇ。琉偉の姉、さつきの夫なんですよ。ご両親と縁を切った琉偉ですが、姉のさつきとは、今も仲良くやってますし、うちにも良く来ます。子供達をとても可愛がってくれるんですよ。…最近はとても楽しそうにしてたのに、急にまた、元気が無くなって。会社では、社長ですから、そんな素振り見せませんけどね」

そう言って、課長は苦笑した。

雪はなんて言えば良いのか、分からなかった。

「…どうです?明日は仕事も休みですし、うちに来ませんか?さつきも白井さんに会いたがってるんです。友達がいないいないって煩いんですよ。さつきと友達になってやってください」
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