彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
そして車は走り出した。

…雪は、外の流れる景色を眺めている黒澤社長の横顔をチラ見する。

…いつ見ても、横顔ですら、整っているなぁと、改めて思う。

あんまり綺麗な横顔だったので、チラ見どころか見惚れてしまっていると、それに気づいた黒澤社長が、雪に視線を向けた。

「…俺の顔になんかついてる?」
「…い、いえ、何も」

「…見惚れてた?」
「///‼︎」

ズバリ言い当てられ、思わず顔を赤らめた雪。それを見て、又黒澤社長は笑った。

赤い顔を隠すように、黒澤社長から視線を逸らした雪は、思った事を問いかけてみた。

「…黒澤社長」
「何?」

「…初めて見ました。黒澤社長が笑っている顔」
「…そんなに笑ってないか?」

その問いに首をかしげる黒澤社長。

「…はい、秘書課に所属してそろそろ三年ですが、黒澤社長はいつも険しい顔をされてます」

「…そうかもしれないな。いつも気を張り詰めてるし。それに比べて今は、全くのプライベートだから、気が緩んでる」

…素敵な黒澤社長が、普段見せない笑顔を見せてくれて、気を許してもらえるのは嬉しいが、そこまで気を許されると、ちょっと困ってしまう。
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