彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜

…課長の自宅玄関前、雪は大きな溜息をつく。ここに来て、何を話すというのか。

「雪ちゃん！」
「わっ！…ビックリした」

突然玄関が開き、さつきが飛び出してきた。雪は驚いて目を見開く。

「さぁさぁ、早く入って。こんな所につったってたら寒いでしょ」

そう言いながらさつきは雪を中に招き入れると、リビングに通した。

「夜ご飯は食べたの？」
「いえ、会社から直接来たので…」

「そう、丁度準備が出来たから一緒に食べましょう」
「でも、課長がまだ」

「え？あー、いいのよ！マー君今夜も遅くなるって言ってたから」
「…あれ？有斗君と優希ちゃんは？」

「二人ともばあばのとことにお泊まり。だから、気にぜず食べましょう」

さっきの用意してくれ夕食を食べ、片付けは二人でした。

リビングに座った二人は静かになる。…やっぱり言うのは止めよう、そう思い、雪は帰ることにした。

「さつきさん、私「…何かあったんでしょう？マー君も、雪ちゃんの事、心配してたから…何があったか話してくれる？」

そう言って優しく微笑むさつきに、雪は、実家の話を打ち明けた。

「…そんな事があったの。…政略結婚かぁ…ない話ではないけど…琉偉には、この事言ったの？」

「ま！まさか…言いません…言えません、こんな事」
「なんで？琉偉の気持ち知ってるでしょ？…この事知ったら、焦るわよ〜。…て、違うわね。琉偉に相談しなさいよ。旅館の事は、未知の領域だと思うけど、経営に関してはプロよ？政略結婚なんてしないで、経営を立て直す事が出来るかもしれないわ」