彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
次の日の朝、朝食を済ませると、冬馬は一度、自宅へと帰っていった。

雪と琉偉は、そのまま会社へと出社。

秘書室には、もう先に課長が来ていて仕事をしていた。

「…おはようございます」

「…マー、昨日は休みなのに悪かったな」

「…いいえ、これも大事な仕事ですので」

琉偉の言葉に、課長は笑顔で返した。

「…課長、色々とすみません」

雪は申し訳なさそうに頭を下げた。

「…申し訳ないと思うなら、今後は一人で勝手に行動しないことですね。私も社長もついてるんですから、どんどん頼ってください。それに、さつきもいますから」

ね?と優しい表情で言うものだから、雪は目を潤ませた。

「…ぁ、マーが白井さん泣かせた」

「え、あ、いや、そんなつもりは」

と、オドオドしてる課長が可笑しくなってきて、雪はクスリと笑った。

…その後は、仕事に戻り、業務をこなしていく。

これからの事は、課長や琉偉に、相談しようと思った矢先、思いがけない事が起こった。

…午前の業務、休憩を済ませ、琉偉は課長と共に、外回りへ。

雪は、秘書室で事務をこなす。

そんな時、雪の携帯が鳴る。

表示された着信相手を見て、雪は顔をしかめた。

…出たくない…でも、出ないわけにはいかない。

深呼吸して、それに出た。

「…もしもし」

『こんにちは。白井さん』

「…仕事中なので、用件は短めにお願いします」

『勿論ですよ。…もう聞いたと思いますが、そちらの社長さんも、ホテル部門を立ち上げたとか』

「…」

『それを潰すことが飛天旅館は簡単です』


その言葉に雪は言葉を失った。
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