深夜0時、キミと待ち合わせ。
私は、結局何も答えずに、くるりと体を方向転換させ、スタスタとわざとらしいくらいの早歩きで、机の席に腰を落ち着けた。


「え、ちょ、シカトかい。ツッコミがいなきゃこのボケ成立しないじゃん」


やっぱり、からかわれただけだった。

知ってる。
大丈夫。

だから、冷めて。顔の熱。

あんなの、彼にとっては意味の無いこと。

……なのに。


本を広げて読むふりをしている私に、光が当たる。


「見えてんの?それ」


ライトを持った真夜中くんが、クスクス笑いながら、懐中電灯を私に向けている。


「……ありがとう」

「あ、喋った」
< 109 / 360 >

この作品をシェア

pagetop