深夜0時、キミと待ち合わせ。
今、この暗くて広い空間に、ふたりきりでいられることが、嬉しくて仕方ない。


手にした、恋愛小説。

ページを開いて、中を読まなくても分かる。

恋心が、どんなものなのか。


それは、つまり、……こういうことでしょ?

私が、真夜中くんに抱いている感情と同じものなんでしょ?


目の奥が熱い。

気づかれないように、指先で涙をすくう。


恋に気づいた夜。

私はすでに失恋していた。
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