深夜0時、キミと待ち合わせ。
「上手く……人と話せないんです。本を読んでいる方が、楽だし……好きだから」


どうして、ほぼ初対面の人にこんなことを話してしまうんだろう。

そこそこ喋れる同室の柿崎さんにすら、恥ずかしくて言ったことはない。

真夜中くんも同じように、普段は口を開かないからかもしれない。

彼がこんなに話すところも、笑うところも、初めて見た。

夜になると、元気になる人だったとは。


「ふーん、だから毎日図書館来てんだ」

「……知ってたの?」

「まー、俺も毎日来てるからね。姫とほとんど入れ違いになるけど。あんたいつも暗くなる前にここ出てくもんな」

「……」


姫呼びは、からかわれているのだろうか。

バカにされてる?
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