深夜0時、キミと待ち合わせ。
私の目から溢れていたはずの涙は、頬に流れた跡を残して、嘘みたいにピタッと止まった。

好きあっている男女が、ふたりで出かけた。

それって、デートっていうんじゃないの?

私の知らない過去の話。

だからこそ、何も出来ない今がもどかしい。


「紗帆ちゃん……、怒ってる?」


何も返さなかった私を心配したのか、柿崎さんは不安そうな瞳で恐る恐る問いかける。


「あ、ごめんなさい……、びっくりしただけ……。怒るわけないよ……」

「……タケくんは、怒ったよ。付き合う前の話だから、言う必要ないかなって、隠してたののが悪いんだけど」

「そんな……」
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