深夜0時、キミと待ち合わせ。
柿崎さんは首を横に振って、話し始めた。


「黙っててごめんね。聞いてくれる?紗帆ちゃんには聞いてほしい」

「うん……」


いつの間にか、柿崎さんの涙も止まっていた。


「レイジくんに告る、本当にちょっと前だったの。その時は、レイジくんのことすっごく好きでね。めちゃくちゃ勇気出して誘ったら、笑顔で答えてくれたの。嬉しかったなぁ……」


遠くを見つめる目は、私を見ない。

柿崎さんが見ているのは、昔の真夜中くん。

きっと、今よりも少し幼い姿で。


「出かけたって言っても、別に大したことはしてないの。ファミレスに行って、今日みたいにオムライス食べて。その辺のお店で服見たり、疲れた頃にお茶したり、普通のこと」


楽しい記憶だったのだろう。

悲しそうな声色だけど、口元は優しく笑っている。


「楽しかった。レイジくんもそうかなって思って。両想いなのかなって、勘違いしちゃった。だからすぐに告白したけど……フラれちゃった」
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