深夜0時、キミと待ち合わせ。
自分の気持ちを隠して送り出した言葉に、彼は返事をくれなかった。

一度、苦しそうな表情を私に見せた後、真夜中くんは下の階へ向かう階段へ歩いていった。


「っ……い」


行かないで。


今にも口走ってしまいそうで、必死に手で口を押さえる。


真夜中くんは振り返らない。

でも、それでいい。

私の顔は、涙でぐちゃぐちゃだから……。


静かな図書館で、私はひとり泣いていた。
< 310 / 360 >

この作品をシェア

pagetop