深夜0時、キミと待ち合わせ。
どうして……?

1時間前から、ほぼ5分おきに履歴が残っている。


ごくんと唾を飲み込む。

用なんて、ひとつしかない。


だめ、勇気を出さなきゃ。

逃げるな……!


着信履歴から柿崎さんの番号を出して、通話ボタンをタップする。


ドキドキと騒がしい胸を押さえて、スマホを耳に当てた。


ワンコール鳴ったかと思ったら、それはすぐにプツッと止んだ。


「紗帆ちゃん!?良かったぁー!もう出てくれないかと思ったよぉー!」

「ごめんなさい……、スマホを携帯する習慣がなくて……」

「ううん、ううん、よかった!」


電話越しに聞こえる声は、涙混じりのようだった。
< 326 / 360 >

この作品をシェア

pagetop