深夜0時、キミと待ち合わせ。
唇が離れた時、私は真っ赤な顔を隠すために文庫本を顔の前に持っていった。

見えないけど、彼はきっと笑っている。

からかう表情の合間に、たまに見せる優しい笑顔で。


「好きだよ、紗帆。そんな顔見せてくれるなら、これから何回でも言うから」


そんなことをされたら、私の心臓はすぐにおかしくなる。

今のタイミングで名前を呼ぶなんて、ずるい。


私は言葉にならなくて、ただ小さく頷いた。
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