深夜0時、キミと待ち合わせ。
「何話してたの?」

「してないよ。全然喋ってくれないんだもん、無言姫」

「あー……、喋ってるとこ見たことないよねぇ」


彼女と、その友達の会話が聞こえてくる。

……またやってしまった。

せっかく話しかけてくれたのに、上手く話が出来なかった。

どうして私はこうなんだろう。
嬉しかったのに。


自分からは声をかけられない。

人から声をかけてもらっても、二言以上続かない。


“真夜中くん”だけじゃない。

私にも、すでに“無言姫”なんて、不名誉なあだ名が付いていた。
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