深夜0時、キミと待ち合わせ。
「あっ……、鈴木くん!」


鈴木くんは、振り向くことなく、その場で止まる。


「ありがとう!ごめんなさい!」


精一杯の声量で叫んだつもりだけど、それでも小さくて、ちゃんと届いたかは分からない。


「……」


鈴木くんは、何も言わずにここから姿を消した。



残されたのは、真夜中くんと私のふたり。


足から力が抜けていって、芝生の上に崩れ落ちた。


「こ、こわかっ……た……」

「お疲れさん」


真夜中くんは、私の頭をポンッと1回だけ撫でた。


顔を上げれば、微笑む顔。


やっと、目が合った。
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