深夜0時、キミと待ち合わせ。
その日の授業が終了し、部活にも入っていない私は、真っすぐ寮へ帰った。
女子寮の2階に、私の部屋がある。
扉の横には、名前のプレート。
『音無紗帆 柿崎ののか』
同室の柿崎(かきざき)さんがもう帰宅しているかもしれないから、ノックをして扉を開ける。
「お?紗帆ちゃん、おっかえりーっ!」
「た、ただいま……」
笑顔で、手を振って迎えてくれたから、面食らってしまった。
入学前は誰かと相部屋になる可能性すら考えていなかったから、どうしようかと焦ったけれど、
柿崎さんの分け隔(へだ)てのない明るさには、とても救われた。