~こどもの恋愛~それから…1
「神谷せんせっ…?」
「……おぅ。」
気付けば俺は、卒業生の何人かに囲まれていた。
握手してくださいとか写真一緒に撮って欲しいとか、中には携帯番号を聞いてくる奴もいたけど、それは丁重にお断りした。
それより、留里は…?
あたりを見回してみる。
あからさまに話し掛けるわけにもいかないけど……。
すぐ近くに留里はいた。
他の女生徒に混ざって俺に言ったんだ。
「せんせ?……握手してください。」
俺は、黙って手を差し出す。
握り締めた留里の小さな手。
お互い言葉には出来なくても、気持ちは通じてるんだ。
留里のうるんだ瞳が、俺への想いを語っていた。
俺たちの…留里の高校生活が終わった瞬間だった。