別れ話。
お皿のドリアがからっぽになると同時に会話も途切れた。
「ねえ、話したいことって何?」
わたしから切り出してあげた。
なかなかその話にならないから。
「んー、あのさ、最近あんま会えないし、別れない?」
別れない?の部分は消えそうなほど小さな声だった。
「いいよ。わたしも言おうと思ってたし。」
そう言ってふふって笑ってみせた。
だけどなんだか先に言われたのが悔しくて、もうひとつ付け加えた。
「でもさ、別れたい理由、会えないからじゃないでしょ。サークルに好きな子、いるよね?」
いじわるなわたし。
「それはないよ!」
あわてて返してきたけど、本当のところよく分からない。
グラスの中で、からんと氷が溶ける音がした。
ひとつの恋が終わる、小さな小さな音だった。