別れ話。


「まぁいいや。じゃあ、別れよっか。」

「うん。」




怒ることもなく、泣くこともなく、
溶けるように静かに終わった。





「なんだかあっけないね。元カノと別れた時もこういう感じだった?」



そう聞くと、ははっと力なく笑って濁された。






渋谷駅の改札口、


わたしは「じゃ、またねっ!」とできるだけさわやかに言って、一度も振り返らずにその場から去った。


できるだけ背筋を伸ばして。





自然に出た言葉。

またね。




そこは「さよなら」じゃないの?


言ってから気づいたけど、こぼれてしまった言葉はもう戻せない。





また会いたい。なんてそんな気持ちが出てきてしまったんだと思う。





駅のホーム。


1人ぼっちになってから、やっと涙がぽろぽろこぼれた。



別に我慢してたわけじゃないけど。






だって、だってわたし、


好きだったの。




すごくすごく好きだったの。






今さらごちゃごちゃ言ったって仕方のないことだけど。




でもごめんね、止まらない。





好き。好き。あなたが好き。




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