②オオカミさんの煩悩 部下に恋したエリート課長
「…時に赤野。あ、明後日の退社後は…予定が入っているか?」
さりげなく言ったつもりが、不覚にも、声がうわずってしまった。
「明後日…クリスマス・イブですよね。勿論、ガラ空きですが?」
しかし彼女は、自信たっぷりに答える。
…哀れな奴だ。
「そうか、やっぱりな。…じゃあ、空けとけ。社会人の何たるかを、たっぷりと教示してやる、覚悟しとけよ」
「は、はいぃっ。分っかりましたぁ!」
赤野は何故か警察官の敬礼のポーズをまね、俺のスーツを握りしめると、戦々恐々と部屋を出ていった。
…そう、たっぷりと教えてやろう。
ベッドの上でな。