二十年目の初恋
休日 13
洗いたての涼しげな麻のシーツの海で、私は悠介に与えられる全てを全身で受け止めながら波に漂う小さな舟のように揺れていた……。思わず零れる声に悠介が囁く。
「優華、可愛いよ。もっと聞かせて、優華の可愛い声」
初めて悠介に抱かれた時、悠介が言った体の相性は最高だという意味が今の私には良く分かる。肌を合わせるだけで悠介の大きな手に触れられるだけで、私の中の何かが溢れ出す。喩えようのない痺れるような感覚に、私の全てが支配される。
悠介から与えられる愛のカタチは私にとって最高に好ましいものになってゆく。次の瞬間……悠介の腕の中で……私は意識を失いかけた。
「優華、大丈夫か ?」
「悠介、愛してる」
全身から力が抜けたままの私の意識は波間に吸い込まれそうに漂ったままで……。
気が付くと目の前で悠介が心配そうに私を見詰めてる。世界中で、ただ一人私の全てを委ねられる人。そっと唇に触れるキスを落として
「優華、愛してるよ。俺の優華」
幸せ過ぎて……。どうしようもなく感情が昂ぶって涙が零れた。
「どうした ?」
私の髪を優しく撫でながら悠介が聴く。
「幸せだから」
愛しい悠介を私はただ見詰めていた。それ以上、悠介に伝えるべき言葉は見付からなかった。悠介の手で涙をそっと拭ってくれて、そっと瞼にキスされた。
「優華、もっともっと幸せにするから」
悠介はそう言って抱きしめてくれた。
私は生涯、悠介の傍に居る。彼の傍から絶対に離れたりしない。離れたくない。この気持ちは、きっと変わらない。色褪せたりしない。
悠介と愛し合いながら生きて行く。これからの二人の人生は穏やかな幸せで満ち溢れている筈だから。
そのまま私たちは眠った。お互いの体の温もりを大切に感じながら……。