二十年目の初恋
ずっと 1
朝、携帯の目覚ましが鳴る前に目覚めた。私は悠介の腕の中に優しく包まれたまま……。それだけで心も体も癒されて安心出来た。
昨夜感じた不安な気持ちは、もうどこかに消えてしまっていた。このまま悠介を信じて私は生きていくんだから。
ごめんね。悠介……。思い出さなくてもいいこと思い出して。悠介の寝顔は、とても穏やかでずっと見てても、きっと飽きない。悠介はずっと傍に居てくれる。私が、おばあちゃんになっても、こうして隣りで眠ってくれるんだよね。
「うん、う~ん。おはよう優華、もう起きてたの?」
「うん。たった今ね。悠介の寝顔見てた」
「カッコ良くて見惚れてたのか?」
「う~ん、ちょっと違うかな? 可愛くて見惚れてたの」
「可愛いって歳じゃないよ。俺もう三十六歳だぞ」
「そうね。今は一つ年上なんだ。悠介五月生まれだったよね」
「そうだよ。五月二十三日が誕生日」
「五月二十三日? えっ? それってもしかしたら……」
「そう。同窓会の日。優華に二十年ぶりに会ったあの日だよ。俺、生涯で最高のプレゼントを貰ったって思った。優華に会えて話せて、夜を一緒に過ごして本当に運命なんだと思った。今だって優華は俺の腕の中に居る……」
「悠介……」
「優華、愛してる」
そう言うと悠介の唇が私の唇に重なった。触れるだけじゃない、悠介の熱が伝わってくる深いキスを何度も……。それだけで体が反応してしまう……。
「悠介……。もう起きないと」
ささやかな抵抗……。
「まだ大丈夫だよ」
悠介の熱い体にどうしようもなく翻弄されていった……。
枕に顔をうずめて、うつ伏せのまま動けないでいる私の背中に……悠介はそっとキスして耳元で囁いた。
「今朝の優華、すごく可愛かったよ。あんなに乱れて……」
「だって、それは……。悠介が……あんなこと……」
しどろもどろな私の言い訳。
「あんなことって、どんなことかな?」
笑顔が憎らしい。
「悠介の意地悪。もう……」
言える訳ない。
「疲れただろう。眠ってていいよ。俺がコーヒー入れるから」
「あぁ、悠介。メロンパンとカレーパンあるけど……」
「そうか。じゃあ、今朝はそれにしよう」
悠介は笑顔でキッチンに消えた。
朝からあんなに愛されて……。思い出して恥ずかしさに赤くなってしまう……。