二十年目の初恋
お盆休み 6
三人で揃って朝食を食べるのは久しぶり。温かいご飯とお味噌汁、あじの開きと玉子焼き、きゅうりのお漬物……。
「美味しかった。やっぱり、お母さんのご飯は最高」
「自分で作らなくていいからでしょう?」
「バレた?」
「まぁ気持ちは分かるけどね。私もそうだったから。さぁ墓苑に、お墓参りでしょう? 支度しなさい」
「後片付け、手伝うわよ」
「いいから。優華の方がメイクに時間が掛かるでしょう?」
「失礼ね。五分もあればOKよ」
久しぶりに母と並んで後片付けを済ませてメイクして着替えて準備は完璧。三人で出掛けた。約束の時間より、かなり早めに悠介の家に着いた。
悠介の家と私の家は同じ墓苑に、お墓がある。広い墓苑なので場所は少し離れているのだけれど。
「おはようございます」
玄関を開けて声をかけた。
「あら、優華ちゃん、おはよう。早いわね。久しぶりの実家で良く眠れた?」
「はい」
「悠介も今、着替えてるから、すぐ出て来ると思うわよ。ちょっと待っててね」
間もなく悠介が出て来た。
「優華、おはよう。早かったな」
「おはよう。ちゃんとメイクもしてるわよ」
「今朝も綺麗だよ」
耳元で囁かれた。
「お母さんたちも居るんだから……」
もう悠介ったら。
すぐに、おじさん、おばさんも出て来て
「さぁ、出掛けましょうか?」
「車はどうする? 一台じゃあ無理だし」
と悠介。
「優華ちゃんは悠介の車で、後は四人で一台で行きましょう」
「そうね。じゃあ、父兄は家の車で」
と言ったのは家の母。なんだか、ご父兄の皆さん楽しそうに父の車に乗り込んだ。悠介の車で後ろから付いて行く。
「優華、よく眠れた? 俺が居なくても」
「うん。よ~く眠ったよ。自分の部屋で眠ったの久しぶりだった」
「そうか。俺も自分の部屋で寝たけど、優華が居なくて寂しかったよ」
「たった一晩だけでしょう? 今夜からまた一緒だよ」
「そうだな。これからはずっと一緒だもんな」
しばらく走って墓苑に着いた。まるで公園のように美しい景色が広がっている。両家のお墓参りをして悠介のご先祖様に心の中で
「これから宜しくお願いします」
と挨拶した。
悠介と結婚したら私は実家のお墓じゃなくて悠介の家のお墓に入るんだ。いつか……。まだまだずっと先のはずなのに私はそんなことを考えていた。