二十年目の初恋
結婚 2
駐車場の車まで悠介の少し後ろを歩いていた私は、なんとなく悠介の腕を掴んでいた。
「奥様、どうぞ」
悠介は助手席のドアを開けて少し照れくさそうに言った。
「ありがとう」
なんだか恥ずかしかったけど……。
悠介は運転席から乗ると唇にそっとキスしてくれた。
「俺の奥さんに初めてのキスだよ」
「悠介、誰かに見られるわよ」
「大丈夫だよ。休日の区役所にそんなに人いないよ。さぁ行こうか。花嫁さん」
悠介は笑顔で言って車を出した。
*
ブライダルショップには予定通り少し早めに着いた。お店に入ると
「いらっしゃいませ」
控え室に通された。悠介は隣りの部屋に。
部屋には私の選んだ純白のビスチェタイプのドレスが掛けられていて、すぐにメイクの方が「おめでとうございます」と入って来られた。
ヘアを整えてメイクも華やかな雰囲気に。ドレスに着替えてヘッドドレスも着けて貰ってハイヒールを履いて大きな鏡の前に立った。
「とっても、お綺麗ですよ。ウェディングドレスを着られると、どんな方でもお綺麗ですけど、こんなにドレスのお似合いになる方は、この仕事を長くしておりますが滅多にいらっしゃらないですよ」
「そんな……ありがとうございます」
「もう、お婿さんが待っていらっしゃるはずですよ。さぁどうぞ」
控え室から出ると……。悠介が私の選んだライトグレーのタキシードを着て立っていた。
「優華、とっても綺麗だよ」
いつも優しい悠介が、もっと優しく言ってくれた。
「ありがとう」
*
純白のドレスに包まれた優華。肩を出したビスチェのタイトなシルエットに綺麗なバストライン。細いウエストから幾重にも重なったフワフワのドレスライン。それは誰が見ても美しかった。
*
ほら。悠介が目で合図する方を見て驚いた。そこには、お母さん、お父さん、おばさん、おじさんが……。
「えっ? どうして?」
「悠介さんが教えてくれたの。優華のウェディングドレスぜひ見に来てくださいって」
「悠介……」
「こんなに綺麗なんだから俺一人だけで見てたら勿体ないだろう?」