二十年目の初恋
痛み 15
「分かる気がする。昔から悠介は一途だったよね。悠介に愛された人たちは、きっと幸せだったと思うから」

「本当に幸せに出来てたら、バツなんて付いてないと思うけど」

「私も人のことは言えない立場ですから……」

「そんなことないよ。優華が傍に居てくれるだけで、俺は十分幸せだって言ってるだろう」

「ありがとう。そんなこと言ってくれるのは悠介だけだよ」

「他に居たら、俺が困るよ」

「そうか。でも居ないから安心して」

 その日は一日中、新婚夫婦の休日みたいに、まったりゆったり過ごして……。

「来週の土曜日は、俺、仕事なんだ。大事な新しい取引先と。もしかしたら、そのまま日曜も仕事になるかもしれないから」

「うん、分かった。仕事、頑張ってね。私は買い物にも行きたいし、することはあるから大丈夫よ」

「もし早く終わったら、電話するから」

「うん」



 そして次の土曜日。

 朝から眩しいくらいの澄み切った青空。こんな日に家に居たら勿体ない。午前中に掃除、洗濯を済ませて買い物に出かけた。

 デパートに寄って欲しいと思っていた物を見付けて、とても幸せな気分で下りのエスカレーターに乗っていた。

 下の階はベビー用品が並んだフロア。そこに幸せそうな笑顔で買い物してる二人を見かけた。

 まさか……。別れた主人と彼女? 見間違いよね。そうよ。そんな筈無い。戻って声を掛ける事などできるはずもなく。きっと人違いよ。それにもう私には何の関係もないことだから……。

 そのまま近くのスーパーにも寄って食料品をいろいろ買ってマンションに戻った頃……。

 あんなに晴れてた空が急に曇り始めてなんだか今にも雨が降り出しそう。急いで洗濯物を取り込んで……。もう乾いてる。食料品もしまって洗濯物もたたんで引き出しに入れた。

 するとテーブルに置いた携帯から着うたが聞こえて……。高校時代からの一番大切な親友、絵里からの着信だった。

「はい。絵里?」

「久しぶり、元気だった?」

「うん。なんとかね……」
 彼女には相談にも乗って貰ったし、家を出たことは教えてあった。

「ところで……。優華、知ってるの?」
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