二十年目の初恋
痛み 19

 シャワーを浴びてコットンのワンピースを着て、お風呂から出ると、悠介はソファーに座ったままテレビを見ていた。

「面白い番組でもあったの?」
 隣に座った。

「この映画、見逃したんだ。DVDも買ってなかったし」

「どんな映画?」

「宇宙もの? 地球を救う為に宇宙に旅立つ男の話」

「へぇ……」

 隣でなんとなく見てたけど、結構、引き込まれて一緒に見てしまった。

「どうだった?」 

「うん。面白かった」

「命懸けで戦う男ってカッコイイだろう?」

「そう思う。無事を信じて待ってた奥様が素敵だった」

「信じて待っててくれる人が居るって幸せなことだよな」

「うん?」
 何が言いたいの?

「優華が家で待って居てくれたら、俺、頑張って働けるんだけどなぁ。俺のマンションで一緒に住まないか?」

「それは同棲するってこと?」

「まだ籍は入れられないけど、俺は結婚のつもりだよ」

「私、まだ返事してないのに……」

「優華と毎日一緒に居たい。離れて居たくない」
 悠介は私をそっと抱きしめた。

「でも私、まだ仕事は辞めたくないし、毎日、悠介より先に帰れるかどうかも分からない。悠介が帰った時、食事も出来てなかったら嫌でしょう?」

「俺が先に帰ったら俺が作るよ」

「悠介、料理出来ないって……」

「優華に教えて貰って覚えるよ。簡単な物くらいは。掃除だって洗濯だって分担すればいいだろう? 今だって俺、掃除と洗濯は自分でやってるし、優華に家事を全部押し付けようとは思ってないから」

「ありがとう。でももう少し考えさせて。駄目? ちゃんと考えるから……お願い」

「分かったよ。そうだよな。俺は離婚して一年経ってるけど、優華はまだ数週間だもんな。気持ちの整理とか、ちゃんとついていないのかもしれないよな。ごめん。俺が自分の気持ち押し付け過ぎた。待つよ。最短六ヶ月って言ったのは俺だもんな」

「悠介、私、幸せなんだって思ってる。悠介の気持ち本当に嬉しいから……」
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